絵文字と著作権:絵文字の画像を商用で使ってもよいか
絵文字の文字は誰でも使えますが、AppleやSamsungなどが描いた絵文字の絵は著作物です。商用で使える3つのオープンライセンスの絵文字セットの条件と、出典の書き方、グッズ・サムネイル・ロゴでの注意点をまとめました。
ブログやYouTubeのサムネイルに😂の絵を大きく入れたいとき、ネットショップの商品ページに絵文字のステッカーを貼りたいとき、絵文字入りのTシャツを作って売りたいとき、一度は迷うものです。「絵文字はみんなが使うものだけれど、著作権はあるのだろうか」と。
答えは、「何を使うか」によって変わります。メッセージに入力する絵文字の文字と、画面に描かれた絵文字の絵は、法的にまったく別のものだからです。この記事では、その違いと、商用で使える絵文字の絵の選び方、出典の書き方をまとめました。実際の事業で使う前には、各ライセンスの原文をもう一度確認してください。
文字としての絵文字は自由に使える
絵文字は、Unicodeという標準に登録された文字です。😂はU+1F602という番号を持つ文字で、この番号を文章に入れることは、「あ」や「A」を入力するのと変わりません。
そのため、次のような使い方は、著作権を心配する必要がありません。
- LINEやInstagramのキャプション、ブログの本文に、絵文字を入力すること
- 商品名や広告の文句に、絵文字の文字を入れること(例:「秋の新作入荷🍂」)
- ウェブページやアプリの画面に、絵文字の文字をテキストとして表示すること
このとき、画面に見える絵は、自分が配布しているのではなく、見る人の端末が、自分のフォントで描いているものです。同じ文章が、iPhoneではAppleの絵に、GalaxyではSamsungの絵に見えるのも、そのためです。
絵としての絵文字は、描いた会社の著作物
問題になるのは、絵文字を画像ファイルとして使うときです。😂をスクリーンショットでサムネイルに入れたり、PNGで保存して印刷物に使ったりすると、その時点から、文字ではなく、誰かが描いた絵を複製することになります。
Unicodeが決めるのは名前と番号だけで、絵は各社が自分で描いています。そのため、絵のひとつひとつに、描いた会社の権利があります。
- Apple:iPhoneとMacの絵文字の絵は、Appleの著作物です。Appleは、この絵をほかの場所で使えるように公開ライセンスで開放したことがないので、グッズや広告の画像に使うのは避けるべきです。
- Samsung:Galaxyの絵文字の絵も、同じようにオープンライセンスではありません。
- メッセージアプリ独自の絵文字:WhatsAppやFacebookのように、アプリが独自のデザインを使っている場合も、それぞれの会社の絵です。
「絵文字くらい」と思って使いやすいのですが、とくにAppleの絵文字は、いちばんなじみのある形なので、商用のデザインにうっかり入ってしまうことが多くあります。Tシャツ、マグカップ、ステッカーのように、絵そのものが商品になる場合は、とくに注意が必要です。
商用で使ってよい絵文字セット3つ
幸い、大手の会社の一部は、絵文字の絵をオープンライセンスで公開しています。条件を守れば、商用利用も、改変もできます。
Google Noto Emoji:Apache 2.0
Androidの標準の絵文字のもとになったデザインです。丸みがあって親しみやすい絵柄が特徴です。画像素材は、Apache License 2.0で公開されています。
- 商用利用、改変、再配布ができる
- 配布するときは、ライセンスのコピー(またはリンク)と著作権表示をいっしょに置く必要がある
- 改変したファイルなら、改変したことを表示する
Twemoji:CC BY 4.0
Twitter(現在のX)が作った絵文字で、今はコミュニティが引き継いで管理しています。平面的ですっきりした絵柄なので、サムネイルやアイコンに向いています。グラフィックは、クリエイティブ・コモンズの表示4.0ライセンスです。
- 商用利用、改変ができる
- 出典の表示が必須。使っている場所の近くに、作者とライセンスを書く必要がある
- 改変したなら、改変したことを表示する
Microsoft Fluent Emoji:MIT
Windowsの立体的な絵文字のデザインです。3Dふうのもの、平面のカラー、単色など、いくつかのスタイルがいっしょに公開されています。MITライセンスなので、条件がいちばん単純です。
- 商用利用、改変、再配布ができる
- ソフトウェアやファイルのまとまりとして配布するときは、著作権表示とライセンスの文面を含める
3つとも、「もともと描いた会社が、この絵を保証する」という意味ではありません。会社の名前やロゴを、自分の商品の宣伝に使うのは別の問題なので、絵だけを使い、「Google公式」のような表現は入れないでください。
出典の書き方
ライセンスごとに表示の方式は少しずつ違いますが、次のように一行で書いておけば、たいていの使い方には十分です。ブログなら記事の下、動画なら概要欄、印刷物なら裏面や隅に入れます。
- Noto Emoji:「Emoji graphics: Google Noto Emoji, Apache License 2.0」
- Twemoji:「Emoji graphics: Twemoji by Twitter, Inc and other contributors, CC BY 4.0」
- Fluent Emoji:「Emoji graphics: Microsoft Fluent Emoji, MIT License」
ライセンス名には、原文へのリンクを付けておくのがよいでしょう。複数のセットを混ぜて使ったなら、使ったものをすべて書けば大丈夫です。とくにTwemojiは、表示が抜けるとライセンスの条件に違反することになるので、サムネイルのような小さな場所で使う場合でも、概要欄や本文のどこかに、出典を必ず残してください。
emojicanvasで画像を保存する
emojicanvasの各絵文字の詳細ページには、「デザイン別の画像」の欄があります。ここには、上の3つのオープンライセンスのセットの絵だけが、原本のまま載っていて、それぞれの絵の下にライセンスが表示されています。
- PNG保存:サムネイル、発表資料、商品ページのように、すぐに貼って使う用途
- SVG保存:大きく印刷するときや、デザインのソフトで編集するとき。拡大しても崩れません
AppleとSamsungの絵は、こうした理由から、emojicanvasでは提供していません。使っている絵のライセンスで迷ったら、詳細ページに表示されているライセンスを基準にして、上の出典の表示を付ければ大丈夫です。サイト全体の出典とライセンスは、「出典とライセンス」のページにまとめてあります。
場面別にまとめると
よくある使い方を基準にまとめると、次のとおりです。
- ブログ・YouTubeのサムネイル:オープンライセンスの画像を使い、出典を表示すれば大丈夫です。Apple絵文字のスクリーンショットは避けてください。
- ネットショップの商品ページ・広告バナー:同じく、オープンライセンスの画像を使い、ページの下に出典を書きます。
- Tシャツ・ステッカー・マグカップなどのグッズ:オープンライセンスの絵なら可能ですが、絵が商品の核になるので、ライセンスの条件をとくに丁寧に守ってください。自分で新しく描いた絵を使うのが、いちばん安心です。
- ロゴ・商標:他人の絵文字の絵をそのままロゴに使うと、商標として独占しにくく、トラブルの危険もあります。ロゴは自分でデザインするのが原則です。
- アプリ・ウェブサービスの画面:テキストの絵文字を表示するなら問題ありません。すべての端末で同じ絵を見せたいなら、オープンライセンスのセットを、画像やフォントとして入れ、ライセンスの表示を含めます。
似た絵を自分で描けば大丈夫か
「笑った黄色い顔」というアイデアそのものは、誰のものでもありません。笑顔、ハート、親指のようなありふれた形を、自分の絵柄で新しく描くことは、一般的には問題になりません。
ただし、特定の会社の絵文字を横に置いて、線ひとつ、色ひとつまでなぞって描いたなら、「新しく描いた」のではなく、まねたものになる可能性があります。自分で描くなら、参考にはしても、表情、色づかい、バランスを自分のスタイルに変えるのが安全です。
もうひとつ、国によっては、「絵文字(emoji)」という言葉そのものが、特定の会社の商標として登録されていて、商品名に使われたときにトラブルになった例もあります。商品名やブランド名に、この言葉を大きく入れる予定があるなら、対象となる国の商標の登録状況を、先に確認してみてください。
最終確認 2026-10-22